福岡高等裁判所 昭和22年(ナ)10号 判決
原告
大分縣宇佐郡南院内村大字和田一一三
衞藤數馬
訴訟代理人辯護士
木下郁
被原
大分縣選擧管理委員會
代表者
委員長 三浦敎之
訴訟代理人辯護士
卯田吾十
主文
原裁決中その第一項である昭和二十二年四月三十日執行の宇佐郡南院内村會議員選擧に於ける開票點檢以後の手續は之と無效とするとの部分を取消す。
訴訟費用は被告の負擔とする。
請求の趣旨
被告が院内村會議員選擧無效訴願事件について爲した裁決中第一項と取消し適當なる裁判を求むる。
請求原因省略
答辯省略
判決理由
院内村選擧管理委員長の捺印のない投票用紙による投票が有效か無效かについて審理するに町村制第二十二條第八號に依ると投票用紙は選擧管理委員會の定むる所に依り一定の式を用うべしとある。成立に爭のない乙第一號證及び證人岩男繼雄、長田敦の各供述に依ると右選擧で本件選擧管理安員會は、地方事務所から送つて來た投票用紙に、選擧管理委員長の印章を押捺することにその式を定めたことを認め得る。本件捺印漏れの投票用紙は縣より投票用紙に使用するよう送つて來たものであり、選擧當日投票場で選擧事務從事者から投票用紙として公給せられたものであり、本件選擧當日同一投票場で他に選擧のなかつたことを參酌すれば、これを正規の用紙を用いざる無效の投票と解すべきでなく、有效の投票と斷ずべきである。從つて右捺印漏れの投票用紙による投票を無效と前提する原裁決の第一項は、爾餘の點に對する判斷をする迄もなく失當であるから、之を取消すべきものとする。
仍て原告の本訴請求は理由があるから之を認容し、訴訟費用の負擔については民事訴訟法第八十九條に則り主文のように判決をする。